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『いくつもの週末』 江國 香織

評価:
江國 香織
世界文化社
¥ 1,296
(1997-10)

江國香織さんが、みずからの結婚生活を書き綴ったエッセイ。
「結婚生活」というのはふつうもっと安定していて、ちょっとくらい波風があっても安心してみていられる、そういうものだと思っていました。
けれど江國さんのそれはとてもとてもあやういのです。・・・まるでティーカップのふちをつま先で歩いているみたいに。
理想像なんてものとは無縁で、ドキっとするほどあやうい表現で、心のなかの素直な思いをあまりにさらりと言ってのける彼女。永遠という幻想に甘んじない、永遠でないものをきちんと愛おしんでいる強さ、その姿勢に憧れてしまいます。

白い花びらをみあげながら、来年もこのひとと一緒に桜をみられるのかしら、と思う。これはまったく単純な疑問文として思うのだ。一緒にみたい、と思うのではない。一緒にみるのかしら、と思う。それはなんだか不思議な感じで、そう思うとき私は自分の人生をちょっと好きになる。来年もこのひとと一緒に桜をみる可能性がある。そのことがとても希望にみちたことに思えて嬉しい。そうして、それは勿論一緒に桜をみない可能性もあるからこその嬉しさだ。物語が幸福なのは、いくつもの可能性のなかから一つが選ばれていくからで、それは私を素晴らしくぞくぞくさせる。(『桜ドライヴとお正月』)

‘正しさ’にちっともしばられていない、柔軟な江國さんの心にうっとり・・・。
結婚したら、きっとなんどもひらいてしまいそうな、そんな予感。
Author: ことり
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