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『ぼくの小鳥ちゃん』 江國 香織

評価:
江國 香織
あかね書房
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(1997-11)

小鳥ちゃんはいきなりやってきた。
鈍色の雲がたれこめる冬の朝、ぼくの部屋の窓に不時着して。
体長約10センチ、まっしろで、くちばしと、いらくさのようにきゃしゃな脚だけが薄いピンク色をしている小鳥ちゃんは、とても気位の高い、おしゃまな女の子。
「あたしはそのへんのひよわな小鳥とはちがうんだから」

ぼくには恋人がいて、小鳥ちゃんはいつもちょっと嫉妬しています。部屋に飾られたぼくと恋人の写真を「失礼」といってはしょっちゅうパタンとたおしてしまいます。
ラム酒のかかったアイスクリームが大好きで、読書灯のそばのちいさなバスケットでウエハースみたいな寝息をたてて眠る小鳥ちゃん。
ぼくが恋人の悪口でも口にしようものなら「ひどいことを言うのね」と言い、ぼくが黙るとつまらなそうに、「なんだ、もうおわりなの」と言う小鳥ちゃん。
ぼくと恋人が楽しそうに滑るのを見て「一度スケートっていうものをしてみようかとおもうの」と言い出す小鳥ちゃん。(小鳥ちゃんはけっして「スケートがしたい」なんて言いません) 小鳥ちゃんは本当に、どこまでも、どこまでも‘女の子’なのです。

「あたしはあなたの小鳥ちゃんよね」
と訊く。まじめな顔だ。仕方なくぼくはうなずいた。
「よかった」

あたたかい冬の部屋。小鳥ちゃんとぼく。
気まぐれな共暮らしにはかすかな予感がつきまとうけれど、だからこそふたりの時間がきゅんと愛おしい・・・、あまくやさしいおはなしです。


サイン本です↓
Author: ことり
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