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『エンジェル エンジェル エンジェル』 梨木 香歩

宵っぱりのコウコは、寝たきりのばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うことを許されます。水槽のモーター音がひびくようになって以来、ばあちゃんはまるで少女のような表情を見せ、コウコと話をするようになりました。
ある日、ふたりは水槽の中のむごたらしい光景を目にして――・・・

コウコを中心にした「現代」と交互して、ばあちゃんの娘時代を中心にした「過去」が旧かな遣いで語られていくお話。
「過去」の出来事が「現代」と少しずつ交わっている様が読み手にだけ分かるからくりで、コウコたちには最後まで明かされないことが切ないもどかしさを残します。
それにしても、なんてやわらかな筆致で世の残虐さを描くのでしょう。これは人知れず、心にこっそり棲まわせている‘悪魔’を描いたお話だというのに・・・。

コウコが創った小さな世界――水槽の中には、コウコの予期せぬ残酷な秩序ができあがってしまいました。
私たちの世界も、そうなのかしら。
こんなふうにして神様も私たちを悲しそうに眺めているのかしら。
私たちの、悪意ある言動のすべてを。

「神様が、そう言ってくれたら、どんなにいいだろう。私が悪かったねえって。おまえたちをこんなふうに創ってしまってって」
Author: ことり
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