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『魔王』 伊坂 幸太郎

評価:
伊坂 幸太郎
講談社
¥ 1,337
(2005-10-20)

いまからそう遠くない未来の日本では、犬養(いぬかい)という政治家が党首を務める「未来党」が政権をにぎろうとしていた。
断定的で理解しやすい犬養の演説にすっかり魅了されてしまう若者たち。
考えることが大好きな安藤は、その風潮と犬養のカリスマ性に一人危機感をおぼえる。ある日安藤は、地下鉄の中で自分のもつ不思議な能力に気がついて・・・。
安藤を主人公に描かれた『魔王』と、その後日談として安藤の弟(潤也)の恋人・詩織の視点で描かれた『呼吸』の2つの物語。

このお話、これまでの伊坂さんの本とずいぶん雰囲気が違う――そう感じたのは私だけではないはず。社会への風刺と私たちへのメッセージが、これでもかという威力でもってせまってくるのを感じます。
「考えろ考えろ、マクガイバー」 安藤の口ぐせに伊坂さんが託したかったもの・・・それはきっと私たちへの警告、なのでしょう。
他人の答えを欲しがって。他人の言葉にすぐしたがって。みんなとおなじ方向を向いていたくて。みんなと一緒ならそれだけで安心で、はぐれるのがこわくて。
・・・そんな、まわりに流されがちな私たちへの。

一歩踏みとどまって、考えなきゃ。私は、私ひとりで、答えを出さなきゃ。
流されてちゃ、いけない。いけない。「考えろ、考えろ」!!!
「でたらめでもいいから、自分の考えを信じて、対決していけば世界は変わる」(安藤)
「馬鹿でかい規模の洪水が起きた時、俺はそれでも、水に流されないで、立ち尽くす一本の木になりたいんだよ」(潤也)
自分の考えをもて。それを信じて立ち向かえ。
伊坂さんからのメッセージに、ほんの少し背すじの伸びる思い。
ちょっとずつでも、ひとつずつでも、流される前に考える習慣をつけていこう。そんなふうに心から思えた物語でした。
Author: ことり
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