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『Q&A』 恩田 陸

Q&A
評価:
恩田 陸
幻冬舎
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(2004-06-11)

2002年2月11日(祝)午後2時過ぎ、都内郊外の大型商業施設において重大死傷事故発生。死者69名、負傷者116名。未だ事故原因を特定できず――。
次々に招喚される大量の被害者、目撃者。しかし食い違う証言。店内のビデオに写っていたものは?立ちこめた謎の臭いは?ぬいぐるみを引きながら歩いてた少女の姿は?はたして、これは事件なのか、それとも単なる事故か?謎が謎を呼ぶ恩田陸ワールドの真骨頂!

「それでは、これからあなたに幾つかの質問をします。ここで話したことが外に出ることはありません。」
こんな文章からはじまる物語は、最初から最後まで一貫して問答形式ですすみ、おぼろげながらも事件の全容をうかび上がらせていこうというもの。
偶発的な(?)できごとが同時多発したことでショッピングセンター内の人びとがパニックにおちいり、しかも各フロアからみんながいっきに逃げだしたために被害が拡大したらしい・・・と、複数の証言から推測できるのはそこまでで、そこから先は、事故原因として政府陰謀説を唱える人や、事故後「心霊スポット」としてツアーをくむ人、果ては無傷で生き残った少女を神と崇めるうさん臭い宗教団体まであらわれて、なにやら得体の知れない大きくて不穏な力が社会を侵食していく様子が描かれます。
だけど結局、最後まで事故原因はわからず仕舞い。原因うんぬんじゃなく、これはもしかしたらこういう事件が‘起こりうる’社会のこわさや脆さに注目して読むべきお話だったのかも。

冒頭こそインタビュアーはおなじ人(たぶん)なのですが、途中から様子が変わって、登場人物が次々にリンクしていきます。
視点がさだまらず、思考がまどろんでしまう新感覚のサスペンス・ミステリー。
私たちが暮らしている‘社会’には、こんなにも不条理な落とし穴がいくつも口を開け、息をひそめている――そんな漠然とした恐怖が、ぞわっと背すじを駆けぬけていきました。
Author: ことり
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