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『東京日記―卵一個ぶんのお祝い。』 川上 弘美

あとがきにはこの本は「本当日記」で、少なくとも五分の四くらいはほんとうだと書かれています。ほんとうに「本当」かしら??
ものすごくシュール、そこはかとなく奇妙。それでいて、たまらなくそわそわするのです。この言葉えらびのセンス。この、なんともいえない力の抜けかげん・・・!

「「大福おじさん」を見た。」
こんなフレーズで始まるこの本は、わしっと心を掴まれるエピソードがいっぱい。
ある時は、百円ショップでツボ押し器を三種類買い、
蛙の形のものを「タツヤ」と名づける。タツヤという名の人に知り合いがいないので。でもちょっと知り合ってみたい名前なので。夜、タツヤに腰と肩のツボ押しをさせたけれど、あまり効かない。
またある時は、尿意を我慢し続けていったんおさまり、
ざまあみろ尿意め、と傲慢な気分になったところに、嵐のような尿意が突然どしんとやってくる。ひゃあと言いながらお手洗いに走る。誰かが入っている。青くなって扉の前でつまさきだつ。尿意さまごめんなさいと謝りながら、ふよふよと、つまさきだつ。
夏の暑い日には、夏じゅう合わせて何回「暑い」という言葉を使うのか計算してみたり。(ちなみに四八六〇回)
冬の寒い日には、大声で「寒いよ寒いよ寒いのよ〜」とでたらめな節で歌いながら玄関の扉を開け、隣の人に「あっ」という顔をされたり。

川上さんの文章は、私をほわんといい気分にさせてくれます。
ちょっととぼけていて、ちょっと可愛らしくて、ちょっと妙ちきりんな日々の記録。
椰子・椰子』ファンにはとくにおすすめです。
Author: ことり
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