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『空中庭園』 角田 光代

評価:
角田 光代
文藝春秋
¥ 530
(2005-07-08)

「何ごともつつみかくさず」がモットーの京橋家。でも、ほんとうはみんなが秘密をもっている――家族ひとりひとりが、閉ざしたドアの向こう側で悪態をつきながら、‘仲の良い家族’を演じているさまを描いた連作家族小説。

誰一人本音を言わないで、それでも蛍光灯のした、食卓に集まったなら奇妙に和気あいあいとする家族。
ひとりひとりの冷めた独白を聞きながら、「家族なのに、こんなにも分かりあえていないなんて」と背すじがつめたくなりました。けれどその一方で、これってもしかしたら普通の家族の姿なのかもしれないなぁ、そんな思いも頭をもたげてしまうのです。
たとえば父。たとえば母。たとえば妹。たとえば夫・・・。私は彼らのすべてを知っているわけじゃない。彼らだって私のこと、どれだけ知っているかしら?
とくに理由はないけれど話していないこと、わざと内緒にしている秘密・・・きっといっぱいあるはず。

ささいな言葉のひとつひとつが心にちくんと突きささるたび、思い当たるような感情がぶり返しました。やさしくて、信じたくて、あったかいのにこんなにも哀しい。家族ってほんとうに、深くて複雑。
静かな怒りをひそませた角田さんの‘毒’が全体にしみわたり、正常に見えているものの裏側の実情が、時にコミカルに、時に切実に、少しずつ少しずつ浮き彫りにされていきます。
ざらざらした生活感にまみれた、すれ違い家族たち・・・。読むほどに、私をさびしく、やるせなくさせるのです。
Author: ことり
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