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『森のノート』 酒井 駒子

評価:
酒井 駒子
筑摩書房
¥ 2,268
(2017-09-04)

小さなトンネルの向こう側の森は、秘密のような、よその世界のような感じがする。
静謐な絵と驚きに満ちた言葉が、ともに響きあう珠玉の1冊。

静寂と霧の香り。森の家、2匹の猫、きりりと色濃いみどりの息吹。
文章からは腐葉土の匂いがただよい、レースのような木漏れ日が脳裡をかすめる。伏し目がちに描かれた少年少女の倦怠と憧れが、甘やかによりそう贅沢な画文集です。

頁のむこうは、森の散策路。
マルハナバチの羽音や葉ずれのささめきに親しみながら、画家の日常と動物たちの聖域をゆうらりと行きつ戻りつ。駒子さんの心を小さくゆるがせ波紋をのこした物事を、そっと共有させてもらうような気持ちで読みました。
鹿の蹄の足跡、孤独な女王蟻の行進、白い珊瑚みたいなキノコ、小鳥の埋葬、夜の木香薔薇・・・
生と死の気配が美しくまざりあう、深い森の空気。
胸いっぱいにすいこんでは吐きだして、そしてまた、うまれたての今日を生きるの。


サイン本です↓
Author: ことり
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