<< 『うたかたの日々』 ヴィアン、(訳)野崎 歓*prev
『フランス組曲』 イレーヌ・ネミロフスキー、(訳)野崎 歓、平岡 敦 >>*next
 

『野ばら―小川未明童話集』 小川 未明、(絵)茂田井 武

『野ばら』、『月夜と眼鏡』、『からすの唄うたい』、『ある夜の星たちの話』、『雪来る前の高原の話』、『隣村の子』、『おさくの話』、『ゆずの話』。
8編を収めた小川未明さんの童話集。

たおやかな日本語と灯るようなさりげなさに、心がいつしかうるおっていく・・・。
おはなしを聞かせてくれるおじいさんのそばで耳をかたむけているような、そんな気持ちで読んでいました。
動物がことばを操ったり、星やレールなど生命をもたないものたちが会話をするお話でさえ、現実から離れすぎない肌触りを感じます。するどく社会をみつめていても、ほの暗いかなしみのなかでも、未明さんのお話にいつもやさしさがにじむのは、人間を愛し、自然を愛し、平和を愛した心が根づいているから。

戦争のむなしさを、淡い夢と枯れてしまった野ばらにかさねた『野ばら』、からすと飴売りのおじいさんの変わらない友情がしみる『からすの唄うたい』、心やさしい兄さんへの心情がせつなくうかび上がってくる『ゆずの話』がとくに好きです。
茂田井さんの版画は、挿絵と装飾の中間、といった趣きで、お話がかき立てる無限のイメージをそこなうことなく、素朴ななつかしい雰囲気で読む人をそっとつつみ込んでくれます。
Author: ことり
国内あ行(その他) | permalink | - | -
 
 

スポンサーサイト

Author: スポンサードリンク
- | permalink | - | -