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『世界が終わるわけではなく』 ケイト・アトキンソン、(訳)青木 純子

可愛がっていた飼い猫が大きくなっていき、気がつくと、ソファの隣で背もたれに寄りかかって足を組んでテレビを見ている!そして・・・という「猫の愛人」、真面目な青年と、悪さをしながら面白おかしく暮らす彼のドッペルゲンガーの物語「ドッペルゲンガー」、事故で死んだ女性が、死後もこの世にとどまって残された家族たちを見守ることになる「時空の亀裂」等々、十二篇のゆるやかに連関した物語。
千夜一夜物語のような、それでいて現実世界の不確実性を垣間見せてくれる、ウィットブレッド賞受賞作家によるきわめて現代的で味わい深い短篇集。

お茶目で奇妙な味わいの、遊び心あふれる短篇集。
登場人物どうしがゆるやかにつながり合っていく物語世界は、現実的でありながらもふわんと神話めいていてナンセンス。日常と非日常がたくらみをもって手をつなぎ、渦のような‘あちら側’からの引力に弄ばれてしまうこんな本が大好きです。
どこまでも膨らむ会話、狂気に追いつめる分身、クマみたいに大きくなる猫。
見慣れた風景のなかにいたはずなのに、いつのまにか迷子なの・・・。ウサギ穴に落っこちたアリスみたいに。

「こことは別の世界が、もうひとつあるのかもしれない・・・でもきっと、こことそっくり同じなんでしょうね・・・あっちでもフランス・ワインと天然酵母のパンと、モロッコ産オレンジとミシン糸と、鼓山白雲茶のティーバッグを買って、夜になったら通りのざわめきや犬の鳴き声や、マークとレイチェルという名の夫婦たちが繰り広げる深夜のおしゃべりや、平和に満ちた音を聞きながらベッドで眠りにつく。そういう世界って素敵よね」

(原題『Not the End of the World』)
Author: ことり
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