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『これでよろしくて?』 川上 弘美

些細なことでもよくってよ。
日々の「?」をまな板に載せ老若女女が語らえば――
女たちの不思議な集まりに参加することになった主婦菜月は、奇天烈な会合に面くらう一方、日常をゆさぶる出来事に次々見舞われて・・・。幾多の難儀を乗り越えて、菜月は平穏を取り戻せるのか!?
夫婦、嫁姑、親子、同僚。人とのかかわりに、ふと戸惑いを覚えてしまう貴女に好適。コミカルなのに奥深い、川上弘美的ガールズトーク小説。

平日午後のドーナツ屋のように、ゆらん・・とした空気がただようお話。
38歳、子どものいない専業主婦の菜月は、いつもの「買いもの道」のとちゅうで元彼の母親に出会い、『これでよろしくて?同好会』という奇妙な会合に誘われる・・・。

年齢や境遇がちがう、けれど気の合う女性たちが集まって、日常から生まれたささやかな「議題」についてぺちゃくちゃ論議を交わしあいます。
菜月ははじめこそ「このひとたちは、いったい何なんだ?」と戸惑いぎみですが、可笑しな論議に加わるうちにだんだんと気持ちがほぐれていることに気づいていきます。たわいない女同士のおしゃべりが日々のモヤモヤを吹きとばしてくれることってよくあるし、彼女にとってとても居心地のいい人たちだったようです。
頁を通して伝わってくる、「くえない大人たち」のにぎやかさ。少しくらいぬらりと面倒な話題でも、かろやかにいなして、さりげなく核心をつくメンバーたち。
さざ波だつ菜月の家庭生活とゆっくり移ろいゆく状況に、やがて晴ればれと風が渡るのがとても清々しかった。

ただ、あまりにも日常的な些事のつまったお話のせいか、かつての川上さんの小説にみられたような言葉えらびの艶めき、こだわりは感じられなかったな・・・。
そしてぼんやり屋さんの菜月にも、もう少し独特の味なり深みなりがあってもいいのに・・・なんてちょっぴりだけもの足りなさをおぼえてしまいました。
Author: ことり
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