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『ねじの回転』〔再読〕 ジェイムズ、(訳)土屋 政雄

新訳が出たのを機に、久しぶりに再読してみました。
さいきん『レベッカ』や『丘の屋敷』を読んだので、なんとなく懐かしくなって。この『ねじの回転』は、私がさいしょに出逢ったゴシック小説です。
戦慄の物語はクリスマス・イブ、古いお屋敷に集まり怪奇譚を披露しあうメンバーの一人が、20年前に亡くなった女性家庭教師の怖ろしい体験をつづった手記をもったいぶりながら朗読するところからはじまります・・・。

雇い主である英国紳士の魅力に惹かれ、奇妙な条件に釈然としないまま人里離れたお屋敷に家庭教師として派遣される「わたし」。
りっぱな部屋が用意され、幼い兄妹は天使のように美しく、家政婦のグロースさんともすぐに打ち解ける。しかし「わたし」はお屋敷のそこかしこで男女の亡霊を目撃し・・・子どもたちを守るべく、その正体をさぐろうとするが――

生前、このお屋敷で働いていたという男女。邪悪な亡霊たちはなんのために現われたのか。言葉少なな兄妹は、ほんとうに可愛らしいだけの子どもなのか。
終始「わたし」のひとり語りですすんでいく手記のなかでは、彼女の視点からこぼれたものは当然記されることはありません。だから亡霊そのものが妄想ではないのかしらとも思えてくるし、子どもたちにもなにかをこっそり隠しもっていそうな‘裏の顔’を感じてしまいます。
亡霊がかもし出す怖さよりも、その存在をちらつかせ最後まで‘謎’としてほのめかしつつ終わる語りの妙。気味の悪い出来事も黙された過去も・・・あやふやなまま放置されてしまうことにゾクリと背すじが寒くなりました。
しかもこの手記はさらに第三者が「書き写したもの」だという、三重の入れ子構造!どこまでも読み手を不穏な想像の虜にする小説なのです。

(原題『THE TURN OF THE SCREW』)
Author: ことり
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