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『犬とハモニカ』 江國 香織

評価:
江國 香織
新潮社
¥ 1,470
(2012-09-28)

空港の国際線到着ロビーを舞台に、渦のように生まれるドラマを、軽やかにすくい取り、「人生の意味を感得させる」、「偶然のぬくもりがながく心に残る」などと絶賛された、川端賞受賞作。
恋の始まりと終わり、その思いがけなさを鮮やかに描く「寝室」など、美しい文章で、なつかしく色濃い時間を切り取る魅惑の6篇。

醜悪なぶたのぬいぐるみ、薄くそいだおや指の皮膚、家出の「常習犯」の女の子――
『犬とハモニカ』、『寝室』、『おそ夏のゆうぐれ』、『ピクニック』、『夕顔』、『アレンテージョ』。6つの物語。

おそ夏のゆうぐれ』と、あと『夕顔』は『ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ』で、『アレンテージョ』は『チーズと塩と豆と』でそれぞれ読んだことがありましたが、テーマ色の濃いアンソロジーからぬけ出したお話でさえ、ひとつひとつが江國さんらしい繊細なもの哀しさに貫かれていて切なくなってしまいます。
とろけそうな夏の海の思い出や、千年も前の恋の物語や、はるかポルトガルの倦んだ旅の気配のなかでも、淡い口どけにのこるフルーツの種みたいな、ふいにおとずれる現実感が私をどきりとさせる。
雑踏のなかにいても、恋人とどんなに親密な関係でも、江國さんの小説の主人公はいつもたっぷりとひとりぽっちで、そんな孤独ばかりをあつめた花束のような短篇集だと思いました。
Author: ことり
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