<< 『3びきのくま』〔再読〕 トルストイ、(絵)バスネツォフ、(訳)おがさわら とよき*prev
『すてきなあなたに』 (編著)大橋 鎭子 >>*next
 

『ムーミン谷の十一月』 トーベ・ヤンソン、(訳)鈴木 徹郎

「ムーミン童話全集」の第8巻。・・・最終巻です。
あたりにしんみりとした気配がただよい始め、ムーミン谷はすっかり秋。
旅にでたものの作曲が思うようにいかないスナフキン、自分の名前さえ忘れてしまったパーティー好きのスクルッタおじさん、そうじを生きがいにしていたのに二度とそうじをしたくなくなったフィリフヨンカ、部屋の整頓ばかりしている自分にいやけがさしたヘムレンさん、空想とお話好きでムーミンママに甘えたくなった小さなホムサ・・・
このまえ、谷にいったのは、もう、ずいぶんむかしのことです。でも、とてもはっきりおぼえているものが、一つだけありました。ムーミンの家の南の客間です。そして、あそこで朝目をさましたときに、たのしくてたまらなかったことでした。(中略)
――ほんとにいい人たちだったなあ。
ムーミン一家が恋しくなったみんなは、それぞれに谷をめざしてやってきます。
だけど、ムーミントロールたちはお家をるすにしていたのです――。

がらんとしたムーミン屋敷に集まったのは、やすらかなぬくもりをもとめてやってきた風変わりな生きものたち。一家の帰りを待ちながら、しばらく一緒に暮らします。
痛々しいくらいぎくしゃくしてしまう彼らですが、それぞれの個性をやさしくつつみ込んでくれたムーミンたちはるすなのです。
ムーミン一家はいないけど、いないからこそ一家のすてきな魅力や存在感が際だつことも。誰かを想うという気持ちは、たとえそこにいなくても‘たしかなもの’として生き生きとよみがえらせることができるから。

ホムサは、目がさめたときにたいせつなのは、ねむっているあいだも、だれかが自分のことを考えてくれた、ということがわかることなんだ、といいました。

・・・ムーミン世界の住人たちともついにお別れの時がきてしまいました。
でも、きっとまた会えるはず。また、いつか。

(原題『Sent i november』)
Author: ことり
海外ヤ・ラ・ワ行(ヤンソン) | permalink | - | -
 
 

スポンサーサイト

Author: スポンサードリンク
- | permalink | - | -