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『流跡』 朝吹 真理子

評価:
朝吹 真理子
新潮社
¥ 1,404
(2010-10)

淡いろの花びらのようにはかなく舞い散る言葉のかけら。
美しい文字の羅列が目の前を流れては通りすぎ、あとにはただ、銀の糸水を引きながらそぼ降る雨や、ひやらひやらと横切ってゆく金魚の尾ひれの残像がのこる。

忘れ去られた夢のような、輪郭をもたない世界にうつらうつらと身をまかせることの、その心地よさ。定まらずに揺れつづける瞬間を感性の網ですくいとり、「ほら、あなたも見憶えがあるでしょう?」とそっと差し出される懐かしい季節のおもかげ・・・。
私の前を、音もなく通りすぎていった言葉の軌跡が美しくていとおしくて、なんども頁をさかのぼっては本の綴じ目から押し流れ、はみだしてゆく文字を追いました。

溶解し、ちりぢりに流れてゆく文字は、しかしどこへ――
Author: ことり
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