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『破局』 ダフネ・デュ・モーリア、(訳)吉田 誠一

評価:
ダフネ・デュ モーリア
早川書房
¥ 2,160
(2006-05)

事件はいつも、予期しないときに襲ってくる。それはそっと忍び寄り、背後でじっと待ち構えている・・・。ヒッチコックが映画化した「レベッカ」「鳥」で知られる著者が人生の断面を鋭く抉る6つの物語。

まったく、デュ・モーリアさんは短篇小説も長編小説もすばらしいなぁ。
思いがけない運命に翻弄される人びとを冷静に見つめ、淡々と、ゾクゾクするような鋭さで描き出してゆく短篇集です。
『アリバイ』、『青いレンズ』、『美少年』、『皇女』、『荒れ野』、『あおがい』の6篇のうち、私がとりわけ好きなのは、『青いレンズ』。

『青いレンズ』
きょうは包帯をとり、青いレンズをはめる日。
眼の手術をした女性がゆっくりと両目をひらくと・・・、少しずつ霧が薄れ、ぼんやりと室内の輪郭が見えてくる。けれど、周囲の医師や看護婦は首から上がすべて動物に見えてしまう。牝牛、フォックス・テリア、子猫、蛇、イタチ・・・。
おまけに恋人の頭部までもが・・・?!
すっかり怯えた彼女は病院を抜け出そうとするもつれ戻され、翌朝新しいレンズをつけて目覚めるが――。

悪い夢でもみているような、おかしなお話。
けれど主人公がじりじりと追いつめられていく様子は手にとるようにリアルです。誰も分かってくれない孤独だとか情けなさ。最後に用意されたオチもまた絶妙なのです。

(原題『THE BREAKING POINT』)
Author: ことり
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