<< 『餓鬼道巡行』 町田 康*prev
『破局』 ダフネ・デュ・モーリア、(訳)吉田 誠一 >>*next
 

『薔薇の雨』 田辺 聖子

年下の男との恋に落ちて5年。新鮮さがいつか馴れ合いになり、ときめきは穏やかな親近感に変わった今、留禰(るね)は別れが近いと知る。もはや止めることができない恋の終わりを受け入れようとする女、その心に溢れくる甘やかな悲しみを描いた表題作ほか、恋愛に翻弄され人生に行き惑う男女のありさまを、抒情豊かな筆致で描き上げた5篇。
芳醇な味わい、深い余韻。まさに恋愛小説の傑作。

『鼠の浄土』、『お手紙下さい』、『良妻の害について』、『君や来し』、『薔薇の雨』――田辺さんらしい、柔らかに辛辣なお話の数々です。
どれも主人公は40代なかば以降の中高年の女性たち。世間の風当たりが強いハイミスや生活に疲れきった専業主婦・・・ともすればどんよりと暗くなりそうな暮しをしている女性たちなのに、田辺さんが描くとまったくそうはならないから素敵!
男の人とのぽんぽんはずむ会話、日々のなかでひょいと見つける小さな幸せ。
たくさん経験を積んできた世代だからこその勘のよさややさしさは時に哀しくもあるけれど、読んでいると浮きたつような前向きさがにじみ出て、短篇ごとに多彩な色香がただよってきます。

「うーむ。何ていうか、幸福の壜詰をちょいと指で舐めたような気がすんの、守屋サンと会ってるとね。指をつっこんで甘い味をこっそり舐めてる、という・・・」(『薔薇の雨』)
Author: ことり
国内た行(田辺 聖子) | permalink | - | -
 
 

スポンサーサイト

Author: スポンサードリンク
- | permalink | - | -