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『餓鬼道巡行』 町田 康

評価:
町田 康
幻冬舎
¥ 1,470
(2012-06-27)

小説家である「私」は、素敵で快適な生活を求めて自宅を大規模リフォーム。しかしここで、大きな問題が。台所が使えなくなり、日々の飯を拵えることができなくなったのだ。ポットやレンジを駆使するものの、餓えと渇きはつのるばかり。そしてついに「私」は、「外食ちゃん」となり、美味なるものを求めて飲食店の数々を経巡ることとなった・・・。
有名シェフの裏切り、大衆居酒屋に在る差別。とろろ定食というアート、ラーメン丼に浮かぶ禅。文学が掴まえた、真なる美食。

ああ。どこまでも・・・どこまでも・・・「町田康」な食エッセイでした。
エッセイといっても、妄想まじり、フィクションまじり。いつものあの調子で、つらつらと脳内の感情が面白おかしい文章(ちょっと攻撃的な大阪弁)に変換されていきます。
後半はいくつかの飲食店で出逢ったお料理の描写も多いのだけれど、これがことごとく美味しくなさそうで、苦笑い。
たとえば・・・「豚という生物を殺害してその死体から切り取った筋肉を燃やしながら、塩化ナトリウムとインドやなんかでとれる植物の実を粉砕したものをふりかけ、最後の方で、垂れ、という、大豆を変幻させて拵えた液体(プロはおしょうゆ、と呼ぶ)を基軸に、そこにいろんな草の実の粉砕物や木の実の圧搾物を混入した、それを燃えた筋肉に附着させると奇蹟のように美味になる汁を混ぜ入れたもの」――これ、焼肉定食の描写です。万事こんなふうに表現されていくので笑っちゃいました。

これまでの人生、お店というお店でひどい目に遭い心に傷を負ってきた彼が、一念発起してふらふらお店をめぐる様子が目の前にうかんできます。
攻撃的なのに及び腰なところが、なんとも滑稽で可笑しいのです。
Author: ことり
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