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『レイチェル』 ダフネ・デュ・モーリア、(訳)務台 夏子

評価:
ダフネ・デュ モーリア
東京創元社
¥ 1,260
(2004-07)

亡き父に代わり、わたしを育てた従兄アンブローズが、イタリアで結婚し、急逝した。わたしは彼の妻レイチェルを恨んだが、彼女に会うやいなや、心を奪われる。財産を相続したら、レイチェルを妻に迎えよう。が、遺された手紙が、想いに影を落とす・・・アンブローズは彼女に殺されたのか?せめぎあう恋と疑惑。もうひとつの『レベッカ』として世評高い傑作、新訳でここに復活。

レベッカ』でも冒頭で予感めいた文章がありましたが、この物語もそう。主人公フィリップ・アシュリーのかなり意味深な独白で幕をあけ、そこからいっきに暗示された結末へと向かってゆきます。
舞台は19世紀のイギリス。荒涼としたコーンウォール地方の広大な領地。
敬愛する従兄・アンブローズが異国で急逝し、フィリップはまだ見ぬ彼の新妻・レイチェルに憎しみを募らせる。けれど彼女が領地にやってきたとたん、みるみる警戒をとき、その魅力に屈してしまう・・・そんな様子が流れるような自然さで、しずかに丁寧に描きだされてゆきます。
喪服を美しく着こなす白くきゃしゃな身体。花やハーブの知識にあかるく、やさしい身のこなしで使用人たちへの気配りも忘れないレイチェル。いっぽうで、フィリップの耳には彼女の過去にまつわる噂が届き、遺されたアンブローズの手紙から恐ろしい想像を捨て去ることもできません。
愛に溺れる狂気のなかで、彼女への疑惑がフィリップをじわりじわりと追いつめていくのです。

・・・結局のところ、レイチェルは本当にやったのか。それとも潔白だったのか。
でもどちらにしても男たちをつぎつぎに破滅へと追いやっていく‘魔性’の前では真実なんてかすんでしまう。
急転直下、闇のなかにぽつんと置いてきぼりにされるようなエンディングにすっかり痺れてしまった私です。デュ・モーリアさんの本にはずれなし!!

(原題『MY COUSIN RACHEL』)
Author: ことり
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