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『愛についてのちいさなおはなし』 マリット・テーンクヴィスト、(訳)野坂 悦子

海のうえの杭にすわって、女の子は昼も夜も海をながめています。
たくさんの舟がとおりすぎ、たくさんの人たちがとおりすぎ・・・、
そしてあるとき女の子のもとに、いっそうの舟にのったわかものがやってきます。
わかものは女の子に笑いかけると、そのままどこかへ行ってしまいました――。

海が からっぽになった。
ひろい ひろい海が からっぽになった。

からっぽになってしまった海。もうだれの言葉もきこえません。
女の子はあのひとを待って待って、待ちわびて・・・、
愛する心はむくむくとふくらんで、おさえきれなくなって――・・・
淡い色彩とシュールな可愛らしさ。暗くせつなく閉ざされた気持ち。言葉やかたちにできないものを、舟や杭のうえに建てる家にたとえて語られていくまぎれもない愛の本です。
ひとところにとどまっていた女の子が、あるとき思いきってこぎ出していく・・・ラストがとても、素敵。

(原題『KLEIN VERHAAL OVER LIEFDE』)
Author: ことり
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