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『仙台ぐらし』 伊坂 幸太郎

評価:
伊坂 幸太郎
荒蝦夷
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(2012-02)

「多すぎる」をテーマに書かれた楽しい仙台エッセイと、東日本大震災後のエッセイ、震災後の石巻を舞台にした短篇小説『ブックモビール』が収録されている一冊。

地元愛にみちた、伊坂さんの人柄あふれる文章。なんだかとても癒されました。
少し(?)心配性なところや勘違いしてどきどきしてしまうところ、奥様とかわす素敵な会話・・・ほほえましくて、くすりと笑みがこぼれます。
震災前と震災後が本のなかでくっきりと区切られているので、やはりなにかが決定的に変わってしまった、そんな空気を感じずにはいられないのですが、伊坂さんの思いがしみしみと伝わって、力づけられるぶぶんも大きかったです。

「僕は、楽しい話を書きたい。」
震災後、作家としての立ち場をつづった『震災のこと』をしめくくる一文です。
「楽しい話」――。いいな、頼もしいな、そう思いました。
私自身、あのころなるべく情報をシャットアウトして、「いつもどおりに、いつもどおりに」って呪文のようにつぶやきながら小説の世界に逃げこんだことを思い出します。不安でいっぱいの私をひととき現実から遠ざけてくれたのは、日常の延長のような物語ではなくて、(上質な)海外ミステリーだったことも。
もちろん、ほんとうに現実から逃れることなんてできないのだけど、小説を夢中で読むことで気持ちの均衡をたもっていたところが、たしかにあったから・・・。
最後に収められている短篇は、かなしい状況のなかでも爽やかで夢があって、未来があって、とてもよかったです。
Author: ことり
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