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『くさはら』〔再読〕 加藤 幸子、(絵)酒井 駒子

家族で川へ遊びにいったゆーちゃん。川はシャラシャラうたいながら走っています。
そのときです。――あ、ちょうちょ!
手をのばしたら、スィーとくさはらのほうへ。
まてまて、ちょうちょ。ゆーちゃんはくさはらの中へと分け入りました。

音をたててふいていく風。海の波みたいに揺れるくさはら。
おなかがしずんで、肩もしずんで・・・、
ゆーちゃんはたちまち背の高い草にとりかこまれて――・・・
ここって どこなんだろう。
ちょうちょはもう見えないし、動いたらピシッと葉っぱがほっぺたをぶちます。
泣きたくなって目をつぶったそのとたん、ささやかな音や生きものの気配がきゅうに色濃くせまってくる。小さな胸がにわかに不安にかられ、じわりと心細くなるようすが闇夜のように伝わってきます。ゆーちゃんのトクトクいう鼓動や息づかい、青々とした草いきれまでも感じとれそうなほど。

ついいましがたまであかるく楽しかったのに、突然立ちはだかるまっ暗なべつ世界。
そんな心細さがあわや、というところで大きな安心にくるまれる切り替わりの鮮やかな絵本です。
Author: ことり
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