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『誘拐ラプソディー』 荻原 浩

とびっきりキュートな誘拐小説。なにをやってもうまくいかない前科者のダメダメ男が、たまたま出逢った6歳の男の子を思いつきから誘拐するお話です。
ダメ男の名は伊達秀吉。男の子の名は伝助。秀吉は伝助が金持ちの子供と知り、誘拐したことで、「ツキがまわって来た」と浮き足だちます。
でもじつは伝助は暴力団八岐組組長の一粒種!
そんなこととはつゆ知らず、一発逆転のチャンスに張り切るおばかさんの秀吉が、ヤクザはおろかチャイニーズマフィアや警察にまで追われてしまうというストーリー。

誘拐ものでありながら、痛快でキュート。
ヤクザやマフィアなど、こわい人たちもたくさん登場するけれど、みんな根っからの悪人というふうには見えません。それはきっと、それぞれに‘大切な人’の存在を胸に秘めているせい。ふだんいくらポーズを決めていたって、そんな彼らにも触れられるとへにゃへにゃになってしまう一点があるということ。
行動をともにする秀吉と伝助のあいだにも、いつのまにか友情のようなものが芽生えていきます。伝助がかなりかわいらしくて、秀吉と伝助のかみ合ってるんだかかみ合ってないんだか、の会話はほほえましくて思わず顔がほころんでしまいました。

スリルとほのぼの感のバランスがちょうどよくて、読み終わってみょうに爽快な気分にさせられます。
「約束は、守るためにあるんだ」
しみじみと、素敵な言葉。
Author: ことり
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