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『ムーミン谷の冬』 トーベ・ヤンソン、(訳)山室 静

「ムーミン童話全集」の第5巻。
お日さまがいなくなってしまった寒くてながい冬。
雪にうもれたムーミン谷で、ムーミン一家はひっそりと冬の眠りについていました。なにしろ、冬はいつもそうするならわしなのです。
いままで、ムーミン一家の誰一人として春がくるまで目覚めたものはいなかったのです。それなのに――。

月の光にふと目をさましたムーミントロールは、それきり眠れなくなってしまいます。そして離れた場所では、ミイも子りすにねどこをかじられ目をさまします。ムーミンが経験するはじめての冬。雪だってはじめて見るし、ひとりぽっちだし・・・、よく知っているはずの場所がぜんぜん知らない場所に思えてしまう心細さと戸惑い・・・。
空はほとんどまっ黒で、海は氷の下。なにもかも雪におおわれ凍りついた世界をさまよううち、ムーミントロールは風変わりな冬の生きものたちに出逢います。水あび小屋で暮すおしゃまさん、極度のはずかしがりで自分を見えなくしてしまったとんがりねずみたち、みんなに疎まれているのにどこまでもポジティヴ思考のヘムレンさん・・・冬の世界の住人たちはみな、孤独で淋しがりやなのでした。
「なにもかも、たしかじゃない」って考えているおしゃまさんの生き方がとても素敵。
「ものごとってものは、みんな、とてもあいまいなものよ。まさにそのことが、わたしを安心させるんだけれどもね。」

スキーにスケート。つぼいっぱいのジャムやあたたかいジュース。
いろんな出逢いや経験をしたムーミントロールのはじめての冬に、やがて春の気配がまざり始めます。お日さまがすこしずつ顔をだし、雪嵐がすぎ・・・そして大好きなムーミンママが冬眠から目覚めました。そろそろスナフキンも帰ってくるでしょう。
ムーミン谷がうれしい春をむかえるさまが、うっとりするほどきらきらと美しいです。

(原題『Trollvinter』)
Author: ことり
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