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『アカネちゃんの涙の海』〔再読〕 松谷 みよ子

誕生日、おおかみの姿でアカネちゃんの所に来たパパには、実は死に神が近寄っていた。モモちゃんとアカネちゃんは多くの出会いや別れを経験し、前に歩き続ける。
どうして人は亡くなるの?核実験や戦争は誰がなぜするの?『アカネちゃんとお客さんのパパ』『アカネちゃんのなみだの海』収録。

ちいさいモモちゃん』、『モモちゃんとアカネちゃん』につづく、文庫化第3弾。
読み終えて、ぽとりとせつないため息がこぼれました。私は二人姉妹の姉だからモモちゃんにはとくべつ感情移入して読んでしまうのだけど、モモちゃんのつらさをぜんぜん分かってなかった、そう気づいたのです。
あとがきに「『モモちゃんとアカネちゃん』を書くなかで必要だったのは時間でした。」という言葉があります。松谷みよ子さんご自身の家庭が大きく反映されているこのシリーズは、ちいさいお子さんを赤ちゃん部屋にあずけて働くママをし、その後離婚をし・・・、「今日、なにかがあったからすぐ書くというのではなく、歳月のなかに放り出し、日や雨に晒して布目だけが残ったとき、はじめて書ける」ものだったそうです。
歳月が流れるなかで見えてくるものがあるなら、それは私たち読み手にとってもおなじこと。長い歳月が経って、かつて大好きだった物語を読み返してはじめて見えるものがたくさん、たくさん、ありました。
可愛らしいファンタジーときびしい現実がおなじ重さで溶けているこの物語は、すべての人にたいするやさしさ・・・欠点をもふんわりつつみ込んでくれるような包容力にふれたとき、こちらの胸にもあたたかいものが流れてきます。

ほんとうにやさしい人は、ほんとうにつよい人。
そのことを教えてくれたモモちゃん、アカネちゃん、ママ、どうもありがとう。
Author: ことり
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