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『短くて恐ろしいフィルの時代』 ジョージ・ソーンダーズ、(訳)岸本 佐知子

評価:
ジョージ・ソーンダーズ
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,365
(2011-12-27)

小さな小さな“内ホーナー国”とそれを取り囲む“外ホーナー国”。国境を巡り次第にエスカレートする迫害がいつしか国家の転覆につながって・・・?!「天才賞」として名高いマッカーサー賞受賞の鬼才ソーンダーズが放つ、前代未聞の“ジェノサイドにまつわるおとぎ話”。

国民が一度に一人しか入れない小さな小さな<内ホーナー国>(入れない人びとは<一時滞在ゾーン>で順番待ち!)と、その外側にゆったりと広大な領土をもつ<外ホーナー国>。外ホーナーの人びとは内ホーナーを不当に差別しています。そんななか、野心家の外ホーナー人・フィルが独裁者と化し、わずかな資源である小川やリンゴをとりあげ・・・内ホーナー国を迫害していくお話です。

ツナ缶やバックル、ガラス球など、ガラクタの寄せ集めでできた人びと。
力自慢の男たちのおかしな買収や、あることないこと記事にしたいマスコミ。
外ホーナーの大統領は老いぼれておなじことばかりくり返すし、いっけん敵なしに思えたフィルもラックから脳みそがすべり落ちると調子が狂ってしまう・・・。
突拍子もない可笑しさに、なんどくすくす笑ってしまったことでしょう。
でもお話が進むにつれ、この物語世界が私たちの立っている現実世界とかさなって見えて、頬がこわばってきてしまいます。笑って見ている自分のほうが空怖ろしくなってくるのです。
キュートで滑稽――でもこれは民族間闘争を痛烈に皮肉った寓話でした。
読みやすさのなかに深い深い真実が眠っています。

(原題『The Brief and Frightening Reign of Phil』)
Author: ことり
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