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『ジェントルマン』 山田 詠美

評価:
山田 詠美
講談社
¥ 1,470
(2011-11-26)

誰もが羨む美貌と優しさを兼ね備えた青年・漱太郎。その姿をどこか冷ややかに見つめていた同級生の夢生だったが、ある嵐の日、漱太郎の美しくも残酷な本性を目撃してしまう。それは、紳士の姿に隠された、恐ろしき犯罪者の貌だった――。その背徳にすっかり魅せられてしまった夢生は、以来、漱太郎が犯す秘められた罪を知るただひとりの存在として、彼を愛し守り抜くと誓うのだが・・・。

怖ろしく冴えわたっている・・・そう思いました。
無駄のない文章は鋭利なつめたいナイフを思わせ、ゾクリゾクリと痺れる感覚。

おぞましき犯罪者の素顔をもつ、「ジェントルマン」の漱太郎。
そんな漱太郎を崇拝し、「告解の奴隷」となる同性愛者の夢生。
異端どうしの究極の偏愛を、こんなふうに残酷かつ甘美に描けるなんてやはり詠美さんはすごいと思いました。
卓越した美しい比喩表現、冒頭とラストが巧みに結びつく構成。目をそらしたくなるほどの罪悪も、狂おしく歪みきった愛情も・・・張りつめた闇のなかで冴えざえと月のような光を放ち、身動きができなくなる。濃密な哀しみの海で溺れてしまう。

ストーリーは正直好みではないけれど、文章でここまで痺れさせてくれる作家はほかに思いつかない。山田詠美さんの凄さ(力量)を見せつけられた気がします。
Author: ことり
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