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『シチリアを征服したクマ王国の物語』 ディーノ・ブッツァーティ、(訳)天沢 退二郎、増山 暁子

とおいむかし、厳しい冬の飢えと寒さにたまりかねたクマたちは、すみかの暗い洞穴から出て、山をおりることにした。
行く手に待ち受けるのは、残忍な大公に、ばけ猫、人食い鬼。ゆうれいもいれば、魔法使いもいる。さてはてクマたちの運命やいかに。
おもしろく、やがて悲しい、クマ王国の物語。

イタリアから届けられた、ゆかいなゆかいな物語。
勇敢で心やさしいクマの王さま・レオンツィオ、発明好きのフランジパーネ、ぼんやり顔のジェルソミーノ・・・個性あふれるクマたちが、暴君の大公、あやしげな星占い師デ・アンブロジイース教授、人食いトロル、ばけ猫マッモーネなどを相手に大活躍する冒険ファンタジーです。
物語と一体となって愉しませてくれるカラー挿絵は作者本人によるものだそうで、これがほんと素敵!数えきれないくらい大勢のクマたちの絵、そのすみっこのほうに重要人物がこっそり小さく描かれているのも楽しいのです。
ブッツァーティさんといえば、暗く不条理で悪夢のような作風が印象的ですが、このお話も彼らしい残酷さやペーソスをふくんだものになっています。ただ、後味はとても晴れやか。哀しみを引きずりながらも生まれ変わったクマ王国の未来が想像できて、うれしい気持ちにみたされます。

(原題『LA FAMOSA INVASIONE DEGLI ORSI IN SICILIA』)
Author: ことり
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