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『どこ行くの、パパ?』 ジャン=ルイ・フルニエ、(訳)河野 万里子

評価:
ジャン=ルイ フルニエ
白水社
¥ 1,890
(2011-02-26)

ユーモア作家として活躍する陰で、重い障害を持つ二人の息子を抱え、懺悔と自責の念で激しく苦悩する父親。子どもたちとの日々をいまようやく素直な思いで語る、笑いと涙の自伝的小説。

身体的にも知的にも、生まれつき重度の障害をもつマチューとトマ。
目はよく見えず、背骨は突き出して曲がり、笑わせることはむずかしく、ぼやけた独自の世界にいる息子たち・・・。「みんなと同じ」じゃない息子をふたりも抱える著者の独白がはじまります。

きみたちといるのは、天使のような忍耐力が必要だった。
でも僕は天使じゃない。

フランスの人びとはこの本のブラックユーモアに笑ったそうだけど、私はくすりとも笑えなかったです。彼がつらさを笑いに変えようとすればするほど心が疼いて。
僕は、誇らしく思える子どもたちがほしかった。(中略)
だが、ついてなかった。遺伝のくじ引きで、僕は「はずれ」を引いた。
運命をのろうばかりか、ひねくれた考えをめぐらせる著者。あまりにも正直な感情の吐露は、自虐にみち、痛々しく歪み、時に自暴自棄で、私はほとんど暗澹とした気持ちになってしまいました。
けれど読んでいるうちに彼の深い愛情と哀しみが、魂のさけびがじわじわとしみてくるのです。そのひずみのようなものにいつしか打たれ、涙があふれていた私・・・。

ひとつ確かなことは、この人の気持ちはおなじ境遇にいない私たちにはぜったいに分かるはずもないということ。
ただ、世の中にはこんな思いで生きている人がいると、知ることはできるはず。
生まれたことも、「ふつう」であることも、すべて奇跡なのです。

(原題『Où on va,papa?』)
Author: ことり
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