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『女ひとりの巴里ぐらし』 石井 好子

一九五〇年代のパリ――戦後の芸術文化が華やかに咲き誇った街で、日本人歌手としてモンマルトルのキャバレー<ナチュリスト>の主役をつとめた著者による自伝的エッセイ。
楽屋生活の悲喜こもごもや、まだ下町らしさの残るパリでの暮らしを、女性ならではの細やかな筆致で生き生きと描き、三島由紀夫にも絶賛された「貴重な歴史的ドキュメント」。

1950年代に、パリのキャバレーで舞台の中央に立っていた石井好子さん。楽屋生活をはじめ、当時のパリの風俗や暮らしぶりなどがいきいきと描き出されているエッセイです。
汗と香水、女たちのかしましいおしゃべり・・・なかでも<ナチュリスト>の楽屋でのようすは、ムンムンした熱気だとか華やかな喧噪が手にとるように伝わってきて、とても面白く読みました。そのなかで起こった数々の涙と笑いのエピソードも。
義姉のとみ子さん(=仏文学者の朝吹登水子さん)母娘とのアパートでの暮らしは、石井さんにとってひとときのやすらぎだったのでしょうね。このパートを読むとき、私の心もふっと力がぬけるようでした。

華々しい活躍のかげには、当然のことながら、さまざまな苦労と強靭な覚悟があった・・・そのことも、文章のはしばしから読みとることができます。
西洋音楽の歴史は、日本においては、まだまだ浅い。でも、私たちはいつもたゆまず闘って来た先輩に感謝しなくてはいけない。そして、これから出る人々のための捨石になるべき努力も忘れてはならないと思う。
石井さんは謙虚な方だから、ご自分のすごさをけっしてひけらかされてはいないけれど、巻末の解説を読むと彼女がどれほどすごい方だったのかが分かります。
Author: ことり
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