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『モナ・リザの背中』 吉田 篤弘

評価:
吉田 篤弘
中央公論新社
¥ 1,890
(2011-10-22)

週の半分は大学の先生、あとの半分は有楽町の地下街を散策する。
50歳独身、しょっちゅう鳥肌が立つ。相棒は、ちょっと風流な助手のアノウエ君。
・・・そんな曇天先生が、ダ・ヴィンチの「受胎告知」やワイエスのポスターなど、絵のなかの世界に突如まよい込んでしまうお話です。

絵のなかでいつも出くわす謎の人物、妙な出口へとつながる帰り道。
やがて、アノウエ君までもが銭湯の壁(富士山の絵)にすい込まれて・・・?
「絵の中の世界とこっちの世界を先生がつなげちゃったんです。それこそ先生が問屋になって、間に立って、つなげて、ごっちゃになって、何かと何かが入れ替わったりすり替わったりして、あっちのことがこっちでも起きて。」

絵のなかにまよい込む――まるでメルヘンの夜みたいなできごとだけど、‘言葉’そのものにこだわる吉田さんらしい文章で、現実のすぐ隣にある不思議な世界をユーモラスに描いてみせてくれています。
すべてのものに奥があり、時間を共にすることで、人と結びつく。
すべてはその奥でつながっている・・、これってとても素敵な考え方だと思いました。
絵画をみるとき、カンヴァスに入りきらなかった風景や、とじ込められた時間やひそやかな想いまで、心の目でみつめられたらいいのに。
Author: ことり
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