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『ベーメルマンス―マドレーヌの作者の絵と生涯』 ジョン・ベーメルマンス・マルシアーノ、(訳)福本 友美子

評価:
ジョン・ベーメルマンス マルシアーノ
BL出版
¥ 4,200
(2011-03)

「マドレーヌ」シリーズでおなじみの絵本作家ルドウィッヒ・ベーメルマンスさんについて、彼の孫ジョン・ベーメルマンス・マルシアーノさんがまとめられた伝記です。
美術館に置かれている図録のような、大きくて、ずっしりと重いりっぱな本。
没後35年間、だれも手をつけていなかった貴重な資料からも、たくさんの絵画やスケッチ、執筆原稿、写真、メモ、手紙などがえらばれ掲載されています。
苦労の連続だった少年時代や、愛妻ミミ・愛娘バーバラとすごしたかけがえのない時間を美しい絵とともにたどること、それはほんとうに贅沢なことでした。
ゆっくりゆっくり・・・彼の人生をひもとくにつれ、ベーメルマンスさんが、マドレーヌちゃんが、彼ののこされた愛らしい絵たちが、どんどん身近に感じられるのです。

私と彼の絵本の出逢いは『げんきなマドレーヌ』なので、やはり彼の人生にマドレーヌちゃんの‘気配’をみつけたときが一ばんうれしかったです。
南フランスを旅行中、事故で入院してしまったとき、「病室の天井には、ウサギみたいな形の割れ目があり、隣の病室には盲腸の手術をした女の子がいた。」って文章を読んで反応しない「マドレーヌ」ファンがいるでしょうか。
あと、『マドレーヌといぬ』の原稿を読んだ編集者・マッシー氏が、手紙のなかで「(犬の)名前が安っぽいから考えなおして」とお願いしていた、というエピソードも! あの勇敢な犬・ジュヌビエーブが、はじめはフリーバッグという名前だったなんて・・・。
ジュヌビエーブ。この優雅なひびきに憧れていたのは私だけではないはず。

何年もかかって何千枚もスケッチをし、何百枚も絵をかき、物語のアイディアを数えきれないほど出し、あらすじやダミー本を何ダースもつくってから、やっと完成したというルドウィッヒ・ベーメルマンスさんの絵本。
さらさらっと流れるようなかろやかな筆さばきからは、そんな苦労のあとがすこしも見えないのもきっと彼のすごさなのですね。この伝記を読んでますますベーメルマンスさんのファンになりました。
ところで、『げんきなマドレーヌ』、『マドレーヌといぬ』、『マドレーヌといたずらっこ』、『マドレーヌとジプシー』は子どもの頃に読んだのですが、『ロンドンのマドレーヌ』と『マドレーヌのクリスマス』はなぜか未読です。パリの美しい色彩と空気、2列になって暮らしている女の子たち、頼もしいミス・クラベルに久しぶりに再会したいな〜。
さっそく読んでみるつもり。

(原題『BEMELMANS : THE LIFE AND ART OF MADELINE'S CREATOR』)
Author: ことり
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