<< 『台所太平記』 谷崎 潤一郎*prev
『しつれいですが、魔女さんですか』 エミリー・ホーン、(絵)パヴィル・パヴラック、(訳)江國 香織 >>*next
 

『神様 2011』 川上 弘美

評価:
川上 弘美
講談社
¥ 864
(2011-09-21)

くまにさそわれて散歩に出る。「あのこと」以来、初めて――。
1993年に書かれたデビュー作「神様」が、2011年の福島原発事故を受け、新たに生まれ変わった――。
「群像」発表時より注目を集める話題の書。

大好きだった『神様』の世界が変わってしまった。
「あのこと」は、あんなにきらきら眩しくて、柔らかくて、居心地よかったあの世界さえ変えてしまった。

くまにさそわれて散歩に出る・・・夢みたいにほのぼのとした‘日常’の、そこかしこにちりばめられたものものしい表現。けっしてぬぐい去れない暗い暗い翳。
もう元の世界には戻れないのですね。なにも知らないというのは、なんて愚かで・・・なんて幸福だったのでしょう。かなしくて、くやしくて、涙がでます。
でも、「あのこと」をなかったことにはできないし、現実から目をそらさずに私たちはこれからも日々暮していかなければなりません。

こんなかなしい『神様』を読む日がくるなんて、思いもしなかった。
そして、こんなかなしい『神様』を書かずにはいられなかった川上弘美さんの心中を思うと、胸が苦しくなるのです。
Author: ことり
国内か行(川上 弘美) | permalink | - | -
 
 

スポンサーサイト

Author: スポンサードリンク
- | permalink | - | -