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『戦争童話集』 今江 祥智

<わたし、馬と話ができるのよ・・・> あのこはそういった。村の遠くでサイレンがなり、高い空に、きれいな鳥みたいな飛行機が、いくつもいくつも町へむかって飛ぶのが見えた。町が空襲にあったのは山あいの村からあのこが消えた夜のことだった。日本がいくさに負けた年の疎開地での少年と少女を描いた永遠の名作「あのこ」など、児童文学の第一人者が魂を込めた「あの戦争と少年少女たち」の物語。

『メリー=ゴー=ラウンド』、『あのこ』、『あいつ』、『黒い馬車』、『夕焼けの国』、『七番目の幸福』、『こぶし』、『あにい』、『ユキコボシ』、『やっぱり、あいつ』、『ピアニスト』、『ホタテクラゲ』、『ひどい雨がふりそうなんだ』、『まぼろしの海』、『すてきなご先祖さま』、『ホテル』―― ‘戦争’の影がうっそりと立ち上る戦争童話集。
抒情的なファンタジー、大人になって回想する少年期、祖父母が語り聞かせる体験ばなし・・・戦争がらみではあるけれど、そこはやはり今江さんのこと、柔らかで透明なせつない童話世界がひろがっています。

あのこがならんで走れるくらい、馬はまだ幼なかった。それでときどき、ほっそりしたあしを、木のかぶにぶつけてころんだ。そのたびに、あのこは星のようにすんだ声をあげてさけび、子馬はその声におどろいて、もくんと立ち上がってまたかけるのだった。
月が青く風が青くて、夜はガラスざいくのようにキラキラしていた。
(『あのこ』)

文章のひとつひとつが星みたいにきれいな『あのこ』、女きょうだいのなかでそだった少年の成長『七番目の幸福』、秘密めいた客室にはいるとそこは・・・ふしぎなファンタジー『ホテル』がとくにお気に入り。
「雨」が天から降る水の滴だけではなく、敵機から落とされる「火の雨」を連想させもした時代。そんな時代に生きた少年少女たちにしずかに思いをめぐらせました。
Author: ことり
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