<< 『はじめの穴 終わりの口』 井坂 洋子*prev
『遠い朝の本たち』 須賀 敦子 >>*next
 

『幻の女』 ウイリアム・アイリッシュ、(訳)稲葉 明雄

評価:
ウイリアム・アイリッシュ
早川書房
¥ 1,015
(1976-04-30)

ただ一人街をさまよっていた男は、奇妙な帽子をかぶった女に出会った。彼は気晴しにその女を誘ってレストランで食事をしカジノ座へ行き、酒を飲んで別れた。そして帰ってみると、喧嘩別れをして家に残してきた妻が彼のネクタイで絞殺されていたのだ!
刻々と迫る死刑執行の日。唯一の目撃者“幻の女”はどこに?
サスペンス小説の巨匠の最高傑作!

「夜は若く、彼も若かった。が、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。」
こんな魅惑的な書き出しで始まる1964年発表のミステリー。おもしろくて、ドキドキして、ほとんど一気に読みました。

夜更けのニューヨーク。かぼちゃ色の帽子をかぶった謎めいた女に出会ったスコット・ヘンダースンが、彼女とともにバー、レストラン、劇場を渡り歩きそして元のバーに戻る・・・冒頭からお話いっぱいに独特の夜気がムンムンたち込めています。
けれどなんと女と別れて家に帰ると、喧嘩別れした妻の絞殺死体があり、ヘンダースンは警察の聴取を受けることに。犯行時刻、女といた目撃情報がことごとく誰かの意志によってつぶされていて、肝心の謎の女も行方知れず。ヘンダースンは妻殺しの容疑をかけられ、そのまま裁判で死刑を言い渡されてしまいます。
そんな彼にかわって探偵役を務める親友・ロンバードと若い愛人が、ニューヨークの街を彷徨うように「幻の女」を探していくのですが、その過程がスリルたっぷりでほんとうにおもしろかった。
正直、「幻の女」の正体はそのままにしておいた方がよかったような気がしないでもないけれど・・・、でも全体にあふれる詩情と独特の雰囲気、死刑まであと何日というせっぱつまったカウントダウン、そしてラストのどんでん返し・・・古さを感じさせない展開に時間を忘れました。
秋の夜長におすすめのミステリーです。

(原題『PHANTOM LADY』)
Author: ことり
海外ア行(その他) | permalink | - | -
 
 

スポンサーサイト

Author: スポンサードリンク
- | permalink | - | -