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『ゴランノスポン』 町田 康

評価:
町田 康
新潮社
¥ 1,470
(2011-06-29)

踊るような文体に乗せられて、ハマっていく物語の高み。
『楠木正成』、『ゴランノスポン』、『一般の魔力』、『二倍』、『尻の泉』、『末摘花』、『先生との旅』――7編を収めた短篇集は、煩悩にとらわれ、ぐるぐると足掻いて、でもけっきょく最後は肩を落とす・・・そんな男たちのお話がいっぱいです。

自分を偽りながら、そうとは気づかず――あるいは気づかないふりをして――進んでいく空虚さ。そこから生まれるストレスでどんどん行き詰まっていく感じがリアル。
みんなどこまでも‘前向き’なのに、その方向は世の中で当たり前とされる感覚からはズレているから、一生懸命さがかえって滑稽にうつってしまうのですね・・・。
町田さんが描く主人公は、ダメダメなんだけどどこかしら愛嬌があるから憎めない。

もっとも印象的だったのは、『一般の魔力』でしょうか。
小さな嫌がらせや憂さ晴らしで、気に入らない他人を排除していくお話です。
とことん自分を肯定し、せこい満足感にみたされながらぐいぐい我が道を突き進んでいく身勝手な男の日常。
この思考回路はとうてい理解できませんが、彼に言わせれば、平穏をもとめているだけ、ということになるんだろうな・・・。そんな夫妻に訪れる不穏な結末が怖いです。そういえばこれ、タイトルも怖い!
Author: ことり
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