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『砂糖菓子の男』 アルニカ・エステル、(絵)ユーリア・グコーヴァ、(訳)酒寄 進一

むかしむかし、ひとりの王女がいました。
たくさんの人びとが王女を妻にとのぞみましたが、王女のめがねにかなう人は、なかなかいません。王女はとうとう好みの男をじぶんでつくることにしました。
すりつぶしたアーモンドと砂糖と麦をまぜあわせ、こねあげてつくられた美しい男の像。王女がそれを祭壇におき、ひざまずいて四十日と四十夜祈りつづけると、男は命をやどします。ところが、砂糖菓子の男のうわさを聞いた見知らぬ国の女王が黄金の船で男をつれ去ってしまいました――・・・

ギリシアに伝わる昔ばなし。
鉄の靴をはきつぶし、月や太陽や星たちの力を借りて、異国にさらわれた砂糖菓子の男をどこまでも探しもとめる王女。そうして身勝手な女王のもとから愛しい人をとり戻すまでのおはなしです。
つめたく幻想的な絵は、シュルレアリスムの巨匠サルヴァドール・ダリを彷彿させる雰囲気。ドキっとするほどの妖しい美しさにみちています。窓やとびらの向こう側にのぞく世界がひそやかに前後の頁とつながり、物語の奥深くにみちびかれていくのも素敵・・・。
揚羽蝶ののこした鱗粉のような煌き、読み手を射すくめるいくつものするどい視線。麗しい冷気にうっとりと酔わされてしまう大人の絵本です。

(原題『DER MANN AUS ZUCKER : Ein griechisches Märchen』)
Author: ことり
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