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『秘密のおこない』 蜂飼 耳

評価:
蜂飼 耳
毎日新聞社
¥ 1,680
(2008-10-24)

この世の日々や本のこと。「鯛焼き」や「ほたるいか」から「チェーホフ」「泉鏡花」まで、<その瞬間>をつかまえる――。
感覚と認識を一粒ずつ繋いでできあがる文章は、詩や小説、エッセイなどさまざまな分野で活躍している著者ならではの独自な世界です。

木の実や鳥たちの小さな営み、人びとのささやかな言動、すばらしい一冊の本――
過ぎゆく日常に心を澄ませ、そっとすくい上げた一瞬を大切に大切に「言葉」にしたエッセイ。すごくよかったです。
蜂飼さんの文章がとても心地よく心にしみて・・・清らかな水でひたひたに満たされていく感じ。私がさらりと受け流し意識にのこらなかったことごとも、とても美しく稀少なとくべつなものとしてもう一度目の前に差し出されるような、そんな気がしたのです。

宵闇におおわれながら擦れちがうたびに、大きな犬の影に、なにかを与えられる。こちらからはなにも与えないのに。息ばかりが白く浮く。すっと消える。また白く浮く。生きていることを伝える。いつのまにか、犬の影に励まされている。犬はそれを知らないし、連れている人も知らない。幾度か出会ううちに、その時間が、身の内で結晶しはじめる。闇の鉱物のかたちに凝って、輝きはじめる。(『闇の結晶』)

小さな不安や驚きたちにふいに時が止まる・・・ひっそりと刺激的なエッセイ。
蜂飼さんの感性がうらやましい。私もこんなふうに、物事を感じとれたらいいのに。


■ この本に出てきた読んでみたい本たち <読了メモは後日追記>
『オーランドー』 ヴァージニア・ウルフ
『チェーホフ・ユモレスカ』 アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ
『墓の話』 高橋 たか子
『コルタサル短篇集 悪魔の涎・追い求める男 他八篇』→読了 フリオ・コルタサル
『台所の詩人たち』、『掘るひと』 岩阪 恵子
Author: ことり
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