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『ゴールデン・バスケットホテル』 ルドウィッヒ・ベーメルマンス、(訳)江國 香織

評価:
ルドウィッヒ ベーメルマンス
BL出版
¥ 1,575
(2011-04)

レモン・スフレ、トマト色の椅子、ぬいとりのあるナプキン――
鐘の音が聞こえる当ホテルへ。
「マドレーヌ」シリーズの生みの親ルドウィッヒ・ベーメルマンスによる本格的な読み物。1937年ニューベリー賞オナーブック。

小さな姉妹セレステとメリサンドは、お父さんにつれられて、ベルギーの古都にある古いホテル「ゴールデン・バスケットホテル」にやってきました。
女の子たちがブルージュの街ですごす、ゆかいなひとときの物語。

情景描写がこまやかで美しいこの本。
上品なご婦人たちの話し声、お部屋での潜水艦ごっこ、ホテルではたらく人のしゅっと誇り高いさまなどが、ゆったりとやさしいタッチで描かれていきます。
とくに私が共感したのは、シェフが姉妹にちょっとだけ分けてくれるできたてケーキやアイスクリーム。厨房のすみで立ったまま食べるそれは、テーブルで食べるのよりずっと味がいい、っていうのはすごくよくわかるなあ。あと、りっぱな支配人ムッシュ・カルヌヴァルのポケットの中身を見せてもらうときの興奮も。
大人と子どもの心愉しい交流が、とってもほほえましいお話なのです。
鐘楼のてっぺんにのぼったり、大聖堂の神聖な空気を味わったり、運河ではちょっとした冒険も!でもやがて姉妹たちがこの街を発つ日がやってきて――・・・
物語の終わりに、姉妹たちを見送ったあとのホテルの人びとのちょっぴり淋しそうな様子が描かれているのがじんわりと素敵・・・。

ひびきわたる鐘の音色まできこえてきそうな、古く美しい石畳の街並み。
思わず「食べたい!」ってさけんでしまうジャム入りのオムレツやレモン・スフレ。
かわいらしい挿絵はもちろん、ちっちゃな頃のマドレーヌちゃんもお話に登場するので「マドレーヌ」の絵本ファンにはとくにおすすめです。

(原題『THE GOLDEN BASKET』)
Author: ことり
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