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『スピンク日記』 町田 康

評価:
町田 康
講談社
¥ 1,470
(2011-02-25)

飼い犬の目から見た町田康。傑作エッセイ。
作家である主人のもとにやってきたスタンダードプードルのスピンク。主人をポチと名付け日々のつれづれを綴ります。穏やかな暮らしの中に起こる「事件」とは。

町田さんの飼い犬、スタンダードプードル・スピンクのつぶやき日記。すごく楽しかったです。(・・・町田さん、猫だけじゃなかったのですね!)
飼い主である町田さんのことを「主人・ポチ」と名づけて、ちょっと呆れ顔で、ちょっと奥ゆかしげに‘ですます調’でつづる日常。それは他愛のないささやかなことの積み重ねなのだけど、そこからやさしく流れてくるにぎやかで穏やかな情景。
中に挟まれているスナップ写真が可愛くて(みんなニッコリ笑顔!)、みるみる元気になっていくキューティー・セバスチャンがうれしくて、夫妻の会話が魅力的で。
もちろん言葉のセレクトも面白くて、くすくす笑いながら読みました。

季節の移り変わりや、ポチの‘厄介な生態’、人間社会の意味の分からない矛盾・・・読んでいると、なんだかほんとうにスピンクが書いている気がしてきます。
ポチのこの、立ち直りの早さというか、抜けのよさというか、そういうものがかえって仇になって、ポチは失敗を繰り返しているように思います。
人間はやはり落ち込むときにきちんと落ち込まないと駄目なのですね。
スピンクの目を通して、こんなふうに自分を俯瞰する町田さんが好きだし、楽しい。

人間よりもずっとずっと寿命がみじかい犬たち。
ラストの一行を読んだとき、胸がジン・・、としてしまいました。
この幸福な時間がずっとずっとずっと続きますように。そんな願いが伝わってくる、愛がいっぱいのほんわか日記です。
Author: ことり
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