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『幻燈サーカス』 中澤 晶子、(絵)ささめや ゆき

評価:
中沢 晶子
BL出版
¥ 1,890
(2003-08)

独得の画風で多くのファンを持つ人気画家の初めてのガラス絵画集。
どこか不思議で透明なその絵の彼方に潜むものを、詩が一本の弓となり、せつない物語の旋律にかえて紡ぎ出します。

それは、記憶の底の、また底の・・・ドキドキとほの昏い幻燈サーカス。
まるでタフタのカーテンの陰から、禁じられた小部屋をこっそりのぞいているような、そんな艶かしい秘密めいた興奮。
華々しく煌びやかなステージだけど、その裏側にはほかの誰にも知りえない人生がたしかに存在しているという事実。その孤独や絶望に触れた時、闇はいっそう濃く、灯りはいっそう儚げにうつるようです。
つめたい硝子に描かれているらしい「ガラス絵」に、哀しみの物語が、ひらり。
サーカス団員たちの心にあいたいくつもの空洞が光を放ち、こんなにも美しくせつなく、観る者を魅了するのでしょうか。

「あなたは、危険に魅いられている」と女はいった
「そんなにまでして、飛びたいの?」
涙の瞳をふりきって、男はサーカスいちの飛び手になった
危険を愛した男は生き残り
あっけなく逝ったのは、男を愛した女の方だった
なんのために、だれのためにと問いながら
きょうも男は
宇宙に向かってむなしい飛行をくりかえす
(『からっぽの空中ブランコ』)
Author: ことり
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