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『孤独な夜のココア』 田辺 聖子

あなたとめぐり合うことができて、よかった。同じ時間を過ごすことができて、よかった。今ではすべてがもう夢のように思われるけれど・・・。
心の奥にそっとしまわれた、甘苦い恋の記憶を、柔らかに描いた12篇。恋の温もりと儚さ、男の可愛げと女の優しさを、こまやかな言葉の網で掬いあげ、世代を超えて心に沁みわたる、田辺聖子の恋愛小説。そのエッセンスが詰まった、珠玉の作品集。

田辺さんの書かれる小説は、憧れと現実のバランスがほんと絶妙。
ホワホワの夢みごこちな雰囲気につつまれながら、ちゃんと生々しかったりするところ。お砂糖をたっぷり入れたココアなのに、思いがけず舌にのこるほろ苦さにも似ているのかも。
かろやかな語り口のこの不思議な奥深さは、きっと田辺さんにしか出せないもの、なのでしょうね。とろけそうに甘いシーンにほっこりしたり、かと思えばのどの奥が熱くなったり、放たれたひと言がぐっと胸にせまったり。
世に出たのは昭和53年だそうですが、少しもかびていない。きらきら素敵。
『孤独な夜のココア』というタイトルのお話はなく、12篇の短篇をすべてひっくるめて『孤独な夜のココア』だという、そこのところもとても素敵。
Author: ことり
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