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『さみしいネコ』 早川 良一郎

定年後のささやかな暮らしのなかで、見たり、聞いたり、感じたり、思い出したり・・・50歳をすぎてから軽妙洒脱な随筆家として現われた著者円熟のエッセイ17篇。

早川良一郎さん。失礼ながら、これまでお名前すら知らなかった作家さんです。
『さみしいネコ』というほうっておけないタイトルと、「大人の本棚」の叢書(とにかくはずれがない)、ただそれだけで手にとりました。
早川さんは50歳をすぎて文筆に目覚めたという方で、1991年にすでに亡くなられています。この『さみしいネコ』も、ほとんどが1981年の同タイトルの本におさめられていたエッセイなのだそう。
出世に縁がなく、たんたんとサラリーマン人生をまっとうした、そんな早川さんが定年をむかえて書かれた慎み深く上質な文章の数々。お風呂あがりに少しずつついばむように読みました。

私はハミングしながらの散歩がすむと安楽椅子に深々と掛け、チョビを膝にパイプをすう。ときどき目を閉じる。うちの壁時計はコチコチいう。悠久の時が流れている感じである。そういうとき、私はうちのどこかに青い鳥がいて、私を見ているのではないかと思う。(『ウナギと美顔ブラシ』)

ゆるゆる愉しむ銀座さんぽ。オクさんや娘さんとのなにげない会話。
ひっそりと世の中をながめユーモアをまじえて語る文章は、親しみやすく味があり、慈雨のように心にしみます。
たくさんの人生を見聞きしてきた人のほほえましいエッセイ。ゆったりしたい方に。
Author: ことり
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