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『山のぼりおり』 石田 千

評価:
石田 千
山と溪谷社
¥ 1,890
(2008-03-19)

のぼっておりた十の山。
『山と溪谷』の連載に書き下ろしを加えた石田千初、「登山」エッセイ集。
写真家・坂本真典のモノクローム作品収録。

妖精みたいな、天使みたいな、可愛い女の子がたわむれるやさしい表紙。
そんな雰囲気そのままのポワンとのどかなエッセイでした。読んでいるとこれがハードな(はずの)「登山」であることを忘れそう。
栗駒山、北アルプス、富士山・・・けっこう本格的な「登山」なのに、そんな折でさえ石田さんの時間はやさしくゆるゆる流れていて、私まで森のしんと澄んだ空気にとけていきそうな、しずかな気持ちになるのです。

しらびそ、しらびそ、だけかんば。
教わった木を、たしかめて歩く。きのうは雨にうつむき、今朝はきのこを気にしている。鳥も上機嫌でさえずり、やわらかい風に葉の点描が、まるく揺れる。
たおれた幹から、あたらしい葉が出ている。さまざまなきのこ、クローバー、苔がかさなって、ちいさな森をつくっている。幹は、じぶんが木だったことをだんだんと忘れていくように見える。うとうとと、土となじんでいる。(『北八ヶ岳・天狗岳』)

瞬間瞬間を大切に、風の濃淡まできちんと感じられる人。
こんなふうに自然となかよくなりながら、私も山にのぼってみたい。
Author: ことり
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