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『パロール・ジュレと紙屑の都』 吉田 篤弘

評価:
吉田 篤弘
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 2,205
(2010-03-27)

さいしょは、ただただ戸惑いました。
いつもはごくごくお水を飲むみたいに沁みてくる吉田さんの言葉なのに、このお話では心の外側をつるつるすべっていくようで、ちっとも入ってこないのです。
言葉が凍りついて、パロール・ジュレという結晶になるという北の町・キノフ。
なぜこの町では言葉が凍るのか?そんな謎に魅せられ、その神秘を追究する諜報員・11番目のフィッシュ(紙魚)なる男が登場します。書物の中へ<潜航>し、字間を彷徨い、登場人物の姿を借りて外側へ<再登場>するというフィッシュ。謎を追う刑事、水晶の目を持つ謎の女性、言葉の解凍士――まるでSF小説のような独自の世界にうまくなじめませんでした。

きちんと読みとれたかまったく自信がありませんが、読んでいて思ったのは、これが誰にも伝わらずに、ひそやかに凍りついた秘密や本音たちの物語であるということ。
いつか解凍されることを夢みて、じっとそのときを待つパロール・ジュレ。行き場をうしない宙にういてしまった言葉や想いもすべて凍らせてとどめおきたい・・・物語の底にあるのはそんな作者自身の願いなのかもしれない、そう思いました。
誰にも伝わらなかったことのほうが、きっと、真実に近いから。
‘言葉’や‘文字’、形あるものとしての‘本’を大切にされている吉田さんならではのファンタジーです。私はややこしすぎて手に負えなかっただけ・・・うーーん、残念。
Author: ことり
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