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『短篇コレクション機戞 癖圈肪嘸 夏樹

南北アメリカ、アジア、アフリカ・・・世界各国から集められた選りすぐりの20篇。
世界にはまだまだ私の知らない珠玉の物語があふれている!・・・そんな当たり前のことが、こういうアンソロジーを読むと心で肌で実感できるからうれしい。

粒よりの短編集でも一ばん好きなお話というのがあって、私の場合は一編めの『南部高速道路』。これがこの本の入り口というのもいいなぁ。
パリ郊外で交通渋滞が起こるのですが、その渋滞が延々なん日もつづいてしまうというお話です。どうすることもできないドライバーたち。具合が悪くなる人、食糧を調達する人・・・偶然居合わせた人たちはいつのまにか親密になって――。
お互いを車種でよびあうところや最後は嘘みたいにあっさりと渋滞が抜けるところ、適度にドライで、リアルさとふしぎさの絶妙なまじり具合がたまりませんでした。
あといくつかえらぶなら、若い女の波(!)を恋人にした男の荒唐無稽なファンタジー『波との生活』、瀕死の夫を遠くタルパの教会へ連れてゆく、苦い後悔のお話『タルパ』、氷の海と犬ぞりの記憶・・・うしなわれた思い出を描いた『冬の犬』、沖縄の方言でつむがれていく独特のひとり語り『面影と連れて』が、とくにお気に入り。
『サン・フランシスコYMCA讃歌』は唯一の再読でしたが、家の中の水まわりをぜんぶ詩に置き換える、という変なお話はなんど読んでもおもしろいです。

『南部高速道路』 フリオ・コルタサル
『波との生活』 オクタビオ・パス
『白痴が先』 バーナード・マラマッド
『タルパ』 フアン・ルルフォ
『色、戒』 張 愛玲
『肉の家』 ユースフ・イドリース
『小さな黒い箱』 P・K・ディック
『呪(まじな)い卵』 チヌア・アチェベ
『朴達(バクタリ)の裁判』 金 達寿
『夜の海の旅』 ジョン・バース
『ジョーカー最大の勝利』 ドナルド・バーセルミ
『レシタティフ―叙唱』 トニ・モリスン
『サン・フランシスコYMCA讃歌』 リチャード・ブローティガン
『ラムレの証言』 ガッサーン・カナファーニー
『冬の犬』 アリステア・マクラウド
『ささやかだけれど、役にたつこと』 レイモンド・カーヴァー
『ダンシング・ガールズ』 マーガレット・アトウッド
『母』 高 行健
『猫の首を刎ねる』 ガーダ・アル=サンマーン
『面影と連れて(うむかじとぅちりてぃ)』 目取真 俊
Author: ことり
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