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『村のエトランジェ』 小沼 丹

小さな村に疎開してきた美しい姉妹。ひとりの男をめぐり彼女らの間に起こった恋の波紋と水難事件を、端正な都会的感覚の文章で綴った表題作ほか、空襲下、かつての恋人の姿をキャンバスに写すことで、命をすりへらしていく画家との交流をたどる「白い機影」など、初期作品八篇を収録。
静かな明るさの中に悲哀がただよい、日常の陰影をさりげないユーモアで包む、詩情豊かな独自の世界。「小沼文学」への導きの一冊。

『紅い花』、『汽船』、『バルセロナの書盗』、『白い機影』、『登仙譚』、『白孔雀のいるホテル』、『ニコデモ』、『村のエトランジェ』――小沼さんの初期の代表作8編。
死や戦争など、お世辞にも明るいとはいえないモチーフがいくつも描かれているなかで、かろやかで風通しのいい印象を与える文章が魅力的です。
私のお気に入りは、『紅い花』、『白い機影』、『登仙譚』、『村のエトランジェ』。

飛行機は燃えながら落ちて行った。
それは、ひどく美しかった。そして儚かった。また、悲しかった。或る詩人は人生を花火に譬える。しかし、その一機は、最早メタファの世界ではない、花火それ自体であった。僕はそのパイロットを考えた。彼の愛した、また彼を愛した人達を。碧空は、虚無の拡りに過ぎなかった。
(『白い機影』)
Author: ことり
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