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『私の中のアリスの世界』 森 茉莉

“永遠のアリス”森茉莉の星屑の様な生の欠片を集めた、エッセイのジュエリー・ボックス。
全集未収録作品も多数収録!読めばあなたも不思議の国へ。

我儘で、自堕落で、でも最高に美しいマリアさんのエッセイ。
甘く濃やかなパッパとの思い出は白菫の押し花みたいにロマンティックで、読むたびにあたらしい歌を憶えたばかりの小鳥のようなかろやかさを連れてくる。

好きなものと嫌いなもの、信じられるものと信じられないもの・・・このゆるぎなさにはいつもながらほれぼれします。
「マリアの恋人は、マリアをどこかの、肉眼ではみえない世界につれて行ってくれるのでなくてはいけない。」 森茉莉という人は、なんて上から目線が似合うんだろう!
その媚びない少女性、気まぐれに紡がれてゆくワンダーランド。孤独のなかにそっときらめく彼女の人生の愉しみ方が好き。  
私の日日の中の愉しさ、それは詩であった。詩のようなものと言った方がいいだろう。私は詩というものをよく解るとは言えないし、詩を作ったこともない。自分で詩だと思っている、詩のようなものを日日の中で感じているのが、ただ愉しい。その愉しさが心の中に溢れていてそれが生活をなんとなく面白くしているようである。銀色の鍋の中で沸り泡立つ湯の中の、白い卵を見ていると、私は歌を歌いたいような心持になって来る。網目のように交わった桜並木の梢が、何かの煙と一緒に、薄紫に滲んでいる夕暮れの道を歩く時も。
私、マリアさんのこういうところが好き。
Author: ことり
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