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『道徳という名の少年』 桜庭 一樹

評価:
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,365
(2010-05-11)

町でいちばんの美女が父なし子をつぎつぎに産み落とした。
娘たちの名前は上から順に1、2、3、悠久。やがて女は町を出てゆき、旅の商人とのあいだに生まれたらしき四姉妹の弟(道徳)をつれ帰る――
溶けたバターのような黄色い目と薔薇のかんばせを代々受け継ぐ一族の物語。

うす墨で描かれた淫らな少女たち、血を思わせる赤い装飾。
ひらいた頁から、ぬらぬらと艶かしい妖気が立ち上り、肌にまとわりつくよう。
生まれた時すでにその血は背徳にまみれていながら「道徳」と名づけられた少年・・・彼からはじまる物語もまた、おぞましいほどに道徳にそむいていきます。
娼婦、近親相姦、そして殺人。黄色い目と薔薇のかんばせとともに、一族にどこまでも受け継がれていく背徳の精神。まやかしの‘自由’がもたらす残酷で哀しみを帯びた顛末は、なんだかあまやかな呪いのようにも感じられました。つめたい真珠が喉をつるりとすべり落ちていく、そんなひとときの官能・・・。

どこか『百年の孤独』(ガルシア=マルケス)を連想させる異国情緒。
エロティックでグロテスクな、大人のための童話でした。
Author: ことり
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