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『あられもない祈り』 島本 理生

評価:
島本 理生
河出書房新社
¥ 1,365
(2010-05-13)

やばい、のまれる、・・・そう思いました。
「あなた」と「私」の密室のような恋に。
すべてを捉えては奪いあう、濃やかで狂おしい二人っきりのせまい世界に。

女グセの悪い父、娘にお金をせびる母、不安定で乱暴な恋人。
なによりも孤独を嫌い、置き去りにされることを怖れる「私」は、彼らから逃れられないままに毎日を送っている。
そんなとき、歳の離れた「あなた」に出逢って――・・・

凄まじいほどの閉塞感と物語のほてり。1頁めで世界にのまれ、お話が進むにつれて私はどんどん息ができなくなりました。心がぎゅうっとしぼられて、まわりの空気がうすくなって、まといつくようなとろりとした熱に溺れていくみたいでした。
この本に登場する人たちは誰一人幸せに生きていなくて、自分や他人を傷つけることでしか苦しさをまぎらわすことができない。そんな痛々しい彼らの物語には、おいしそうなオムライスの描写すら、どこか異質なものに思えてしまいました。シアワセの象徴のような、ふわふわできたての玉子料理が。

だから、あなたには自分が幸福になることだけを選んでほしい。
おなじ言葉を、「私」にもかけてあげたいな・・・。
いつかの日に置き去りにされた「あなた」も「私」も、この先、いつか誰かに迎えにきてもらえますように。
Author: ことり
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